抗がん剤治療。いつまでも食欲がわかない。
だるくてしかたない。すぐ疲れてしまう。
食べられないのも、だるいのもわかるけど、仕方がないでしょ。
機嫌悪くしないで。
何か食べやすいものをと思って買ったり作ったりしている。
でも、食べられないのは仕方がない。
お母さんも、無理して食べさせようとしないで。イライラしないで。
気持ちはわかるが、お父さんも食べることができないんだよ。
もう仕方がないんだよ。ほら、ちょっとは食べれる時があるし、ゼリーとかアイスとか食べてるし。
もう好きなものだけ食べたっていいんだよ。
食べれるもの食べて。
お母さんがイライラすると、お父さんがますますイライラしちゃう。
お母さんが必死なのもわかるけど、どうしようもないんだよ。
お父さんも体調が良いときまで、何でもしてもらおうとしないで、自分のことでできることは自分でやって。
がんになって、辛いのも、苦しいのもわかるが、それを全部こっちにぶつけてこないで。
家族の方がまいってしまうとお母さんは言っている。
その気持ちもわかる。
だけど、お父さんが甘えてくる気持ちもわかる。
どっちが悪いわけではないが、どうにかならないものか。
あれこれ治療したけど、うまくいかないね。
どうしてもっと早く、病院に行かなかったの。
それが悔やまれる。
大人なんだから自分の体調管理しっかりしてよ。
どうして、がんになってから健康意識するの。
今までなんでも食べたいもの食べて、寝たいときに寝て好きにしていたくせに。
今さら気を付けたって。
遅いよ。本当に遅いよ。馬鹿だな。
今さら髪の毛抜けたこと気にしてどうするの、と思うけど、どうしても気になるのね。
一生懸命隠している。
家族にもあまり見せたくないのね。
でも、もともとそんなにないから、あまり違和感ないよ。
人にがんで治療していると話すとき、すごく悲しい目をするね。
その目を忘れることができない。
検査の結果、良い方向には進んでいないことがわかる。
ある意味、諦めているのがわかる。
でも、今後、どうしたいとかあまり口にしないから、考えないようにしているような気もする。
力なく笑っている。
もう、残された時間をゆっくり過ごすしかないと思うよ。
誕生日会や、クリスマスみんなでパーティーしよう。お正月はおせちを食べよう。
写真をたくさん残そう。みんなお父さんをかこんで笑って、笑って。
当たり前の生活をいつもより楽しもう。
一緒に残された時間をいっぱい楽しもうよ。